ある国際会議にパネリストとして参加する目的で、ある企業の招待で北京を訪れた。もちろん、「ちゃんと」仕事をしてから「ちょっと」観光に出かけた。
天壇公園にある祈年殿は、明・清代の皇帝が五穀豊穣を天に祈った場所で、釘や梁を一切使わずに建てられた木造建築物。1998年に世界遺産に登録された。
公園内はとにかく人が多くて、お馴染みの太極拳はもちろんだが、あらゆるゲーム、コーラス、ダンス等々に勤しむ人々に圧倒される(というかちょっと気持ち悪い)。リタイアした人が多くて、お金がかからないから、ということらしいが、でもねえ。
路上に水で字を書いている人もいる。達筆であることは一目瞭然だが、お金を取っている様子もなく(すぐに字が消えてしまうからね)、もう一つ目的がはっきりしない。自己満足+時間つぶし?
骨董品街をうろうろしていたら不思議な空間に入り込んでしまった。夕方で仕事(力仕事)帰りの人たちとすれ違う。服装も押している荷車もレトロで、徐々にタイム・スリップしていくような感覚に襲われる。自動車がなかったら50年くらい遡ったような気がする。
と思っていたら、とうとう自動車が入り込めないような場所にきてしまった。人だかりがしている店からは食欲をそそる白い煙が上がっていて、酒を飲み始めた男たちが大声で話している。千と千尋の神隠しで両親が豚に変身する店を覚えているだろうか? 何かあんな感覚の場所でしたね。
これは肉屋さんなんだろうと思うが、明らかに冷蔵庫が見当たらない。その隣は金魚をいれた洗面器を軒先に並べたペット屋さん(?)だった。
歩いている間に公衆トイレを二箇所見かけた。便利な場所だなと思っていたが、ひょっとするとこの辺の家々にはトイレがないということか?
その不思議空間から何とか抜け出して、ラーメンで腹ごしらえをして、夜になってから故宮博物館の東側の東安門美食坊という屋台街に行ってみた。様々の美味しそうなものと、とても食えそうにないものが延々と続いていた。
人出が多く、観光地には違いないが、外国人が多いという感じはしない。そういえば、他の観光地も中国人が多いように思う。というか、中国人が集まるととにかく多いということか?
サソリやムカデ、ヒトデや何やかや。ありとあらゆるゲテモノが串差しにされる。何人かでこういうところに来ると、理由もなくテンションがあがって、お前サソリ食えるか? 怖くて食えんやろ? なんて言ってるうちに誰かが食べ出したりするから商売が成り立っているのだろうけど、一人旅でムカデ食べてもね。
オリンピックを3ヵ月後にひかえ、メイン・スタジアムの鳥の巣はまだ工事中。北京全体が工事の土ぼこりで霞んでる。人事ながら、間に合うかどうか、心配になる。夏休みの最後の週にまだ宿題が終わっていない小学生を持つ親の気持ちのようなものかな?
最近完成した国立音楽ホールでクラシックの演奏を楽しんだ。会場と演奏はすばらしかったが、観客のマナーが悪く(話したり、食べたり)、全体的には差し引きマイナスの印象が残った。このように、何につけ中身が追いついていかないところが今の中国の大きな問題点の一つ。
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