2012年4月7日土曜日

さくら

次女が通っている大学構内のさくらが、抜けるような青空に映えて美しい。

さくらと言えば門出の季節の象徴。僕もまた、新たな門出の準備をしよう。

9年間勤めたバイオ・ファーマの会社を3月いっぱいで辞めた。突然といえば突然なので、いろいろな人が驚き、理由を知りたがった。何とか説明しようとはしたが、うまく理解してはもらえなかった。

「背水の陣」の説明は中国人の同僚には受けた。漢字で書けるし、もともと中国の史実からきた言葉だから彼らにも馴染がある。でも、きわめて現実的な中国人に、私のような弱い人間は、会社を辞めてでも退路を断たないと、とても困難に立ち向かえそうにない、というような説明が本当に理解されたとは思えない。増してアメリカ人には全く通じない発想。

9年前にボストンに来た頃は、仕事はもっとチャレンジングでチームの結束も固かった。しかし数年後、開発もやや後期に入った頃から待ちの姿勢が目立ち始めた。多少仕事がつまらなくても、もう少し待っていれば会社が成功し、自分も成功するのではないか、という感覚だ。この感覚は、実に心の健康によくない。

あと数ヶ月待てば臨床試験の結果が出て、将来の見通しがつく。それまで待てばいいではないかと言われた。でも、大抵の結果は決定的ではなく、そこからまた待ちの姿勢を続けることになってしまうだろう。この連鎖をとめるには、「今」辞めるしかない。

もちろん何の目算もなく辞めたわけではないのでご心配なく(大学院生、大学生、受験生が各一名)。自分なりの考えもあるし、幸い引き合いも多い。実際に何をするかは、もう数週間待ってほしい。でも、何をするかも大事だが、それよりも何よりも、自分の意志で何をするかを決めること、何のために貴重な自分の時間を使うかを選ぶことがとても大事だ。

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